甦る古代金堂 慧日寺金堂の復元【第15回】 現地組み立て その9
およそ2ヶ月半をかけたとち板葺きによる屋根葺き工事が12月中旬に終了し、箱棟には鬼板も取り付けられて無事完成しました。また、12月に入り、併行して進めていた基壇の土間叩き仕上げや扉の設置工事も終わり、外観がほぼ出来上がりました。
完成したとち葺き屋根
これに伴って、建物全体を覆っていた素屋根を昨年末に撤去しましたので、仮囲いの外側からも金堂の外観がご覧いただけるようになりました。
素屋根が撤去された金堂
復元工事も終盤を迎え、3月末の竣工に向けて今後は内部造作の仕上げ作業に入っていきます。
基壇の土間叩き仕上げ
正面板扉の設置状況
柱間(はしらま)装置
建物の側回りや内部の間仕切りのために設けられた建具・窓・欄間などを、建築用語においては「柱間装置」と呼んでいます。このうち建具は、開閉方式によって開戸(ひらきど)・釣戸・引戸に細分されており、さらに開戸には板唐戸(いたからど)(一般に板扉ともいう)と桟唐戸(さんからど)があります。復元金堂では古くから用いられている板唐戸を設置しています。扉は二枚の板を矧(は)ぎ合わせて造るため、上下に端喰(はしばみ)と呼ばれる材を入れて反りを抑えています。
寺院建築における板扉は、平安時代初め頃までは内開きが多く、その後は外開きになっていくそうです。実際の建物を見る場合、その辺も注意してご覧いただければ、時代設定が判って面白いかもしれません。
設置前の板扉 建物正面の板扉設置状況
扉を閉めてしまうと内部は真っ暗になります。そのため、正面両端間には連子窓が設置され、採光・通風の機能を果たしています。
採光・通風機能を果たす連子窓