甦る古代金堂 慧日寺金堂の復元【第14回】 現地組み立て その8
印刷用ページを表示する 掲載日:2015年11月7日更新
進む屋根葺き その2
第13回でもご紹介しましたが、現地ではとち葺きが精力的に進められています。6人の職人さんが総がかりで屋根葺きにあたっていますが、完成後の屋根板の収縮状況を考慮しながら、一枚一枚を竹釘で打ち留めていく大変根気のいる作業のため、およそ3万枚近い屋根板が葺き上がるには、12月中旬頃までかかる見込みです。
なお、みなさんに記銘していただいた屋根板は、最終的に約1,500枚にも上りましたが、これらは日当たりの良い南面の上方に葺かれる予定です。
隅の納めは特に難しいところです
葺き足の揃った美しいとち葺き
徐々に上方へと葺き上げていきます
竹釘
直接風雨にさらされる屋根の場合、錆びやすい鉄釘は不向きでした。したがって、とち葺きに限らず、古来屋根葺きには竹釘が用いられてきました。何より材料の調達や製作工程を考慮した場合、圧倒的に竹釘の方が身近で簡単だったようです。
一般的に、竹釘は下記のような手順で作られます。
復元金堂に用いられている竹釘
- 竹をまず丸鋸で二尺五寸から三尺程度に荒取りします。
- 続いて、節が端部になるようにして縦方向に二分割し、そこから四分割、八分割と五分ぐらいまで小割りにします。釘に使うのは外側の堅い部分なので、この時、内面の肉質部分は包丁で切り離しておきます。
- しばらく天日干しにした後、今度は節を端にして、小刀でさらに細かく分割していきます。そうすると、櫛の歯のような状態になり、繋がっている方を持って、歯を少しずつねじりながら削っていくと、面取りされた釘の形に仕上がっていきます。
- 裁断は、現在では機械化されています。本来は専用の切り台を用いて釘先を削り、もう一端を直角に切り落として一本ができあがります。
一枚一枚を竹釘で打ち留めます
釘の成形としては以上のような工程ですが、強度を持たせるためには、再度天日干しを行った後に大釜を用いて乾炒りします。そうすることによって、竹に含まれる竹瀝と呼ばれる油脂や、酢酸、メタノールなどが溶け出し、光沢のある飴色に仕上がって、耐水性・弾力性に富む釘になるのだそうです。