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甦る古代金堂 慧日寺金堂の復元【第10回】 現地組み立て その4

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年11月11日更新
~甦る古代金堂~ 慧日寺金堂の復元

一般に、日本建築のなかで最も複雑で高度な技術を要したのは社寺建築といわれています。

時代の変遷と共に、さまざまな技法が生み出され整備されていきました。例えば、建築にあたってはさまざまな部材をつないで組み上げていきますが、角度を付けて組む場合、一材でまかなえない場合、さらには別々の部材を組み合わせる場合など、いろいろな組み方やつなぎ方が必要とされます。そうした部材の組み合わせ方法を、継手(つぎて)や仕口(しぐち)と呼び、それぞれに多くの形式があります。釘やかすがいなどを用いず、部材の一部を独特の形状に削りだして、外からは継ぎ目が分からないように木材同士を接合する技術には、まさに大工技術の粋を見ることができます。

継手:一材でまかなえない場合などに、部材を長手方向に継ぐ接合方法。

仕口:二つ以上の部材を角度をもって組み合わせる方法。

「相欠」の写真  仕口が「輪薙込、大釘打」の写真
「相欠(あいかき)」と呼ばれる頭貫の継手   柱と頭貫の仕口は「輪薙込(わなぎこみ)、大釘打」
「鎌継ぎ」の写真
屋根の四隅では、より複雑な仕口が必要とされます
複雑な仕口の写真 
丸桁に用いられている「鎌継(かまつ)ぎ」と呼ばれる継手の技法
頭貫の継手位置図

頭貫・桁・内法長押の継手については、修理工事などによって判明した、唐招提寺金堂や当麻寺(たいまでら)本堂前身堂などの技法にならって、二間材を主として一間材を加える手法を採りました。

架構(かこう)

社寺建築では、特に屋根を支持する梁組(はりぐみ)などを限定して「架構(かこう)」と呼ぶ場合があります。これには大きく二つの考え方があって、ひとつは架構を意匠的に扱って下から見せる方法、もう一つは天井を張り巡らして架構を見せない方法があります。前回で紹介したように、復元金堂では前者の「化粧屋根裏天井」という様式を採用しています。

下の写真は母屋部分の架構の状況で、最も基本的な「叉首組(さすぐみ)」と呼ばれる形式です。

「叉首組」形式の写真

甦る古代金堂 慧日寺金堂の復元シリーズ

第1回 基礎工事
第2回 原寸図の検討
第3回 屋根材の加工
第4回 柱材の加工
第5回 塗装 その1 赤
第6回 現地組み立て その1
第7回 塗装 その2 緑・黄・白
第8回 現地組み立て その2
第9回 現地組み立て その3
第10回 現地組み立て その4
第11回 現地組み立て その5
第12回 現地組み立て その6
第13回 現地組み立て その7
第14回 現地組み立て その8
第15回 現地組み立て その9
第16回 金具・須弥壇の漆塗り
第17回 現地組み立て その10
第18回 竣工
第19回 落成式
第20回 一般公開

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