ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
史跡慧日寺跡
トップページ > 史跡慧日寺跡 > 甦る古代金堂 慧日寺金堂の復元【第7回】 塗装 その2 緑・黄・白

甦る古代金堂 慧日寺金堂の復元【第7回】 塗装 その2 緑・黄・白

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年11月14日更新
~甦る古代金堂~ 慧日寺金堂の復元

第5回に引き続き、金堂の塗装について紹介します。

復元される金堂では、連子窓(れんじまど)には緑、垂木(たるき)や虹梁(こうりよう)などの木口(こぐち)には黄、化粧裏板や床下換気口には白が塗装されます。これらの元来の原料としては、緑色顔料が岩緑青(いわろくしょう)と呼ばれる鉱物、黄色顔料は黄土。そして、白色顔料としては白土や、カキやハマグリなどの貝殻を露頭(ろとう)でさらし、風化して白くなったものを砕いてつくった胡粉(ごふん)と呼ばれるものを使用しました。

ベンガラを塗装している様子の写真  連子窓の写真
ベンガラを塗装         連子(れんじ)窓(まど)の鮮やかな緑色
黄色に塗られた木口の写真  白色の床下換気口の写真
木口(こぐち)に塗られた黄色          床下換気口の白色

顔料は、もともと土・鉱物・生物など、自然界のいろいろなものを原料としていました。第5回のリストにも載せたとおり、今回の工事では、色落ち・管理の配慮から、人工の耐候塗料も併用しています。

顔料は染料と違い、もともと水に溶けにくい性質を持っています。したがって、無理に絵の具のように水で溶いて塗ったのでは、乾いた後剥(は)げ落ちてしまいます。

そのため、古代から膠(にかわ)という固着剤を混ぜて塗る方法が採られてきました。膠(にかわ)は鹿・牛・ウサギなど、動物の生皮や軟骨を煮てつくるいわば強力な接着剤で、主成分はコラーゲンというタンパク質の一種です。古代エジプトの壁画など、世界各地でも使われてきました。乾燥させると硬いゴムのような状態になり、それを細かく砕くとザラ砂糖のようにも見えます。この膠(にかわ)を一晩水につけて寒天状(かんてんじょう)にし、それを湯せんして溶かし、布で漉(こ)します。そうして軟らかくなった膠(にかわ)を、顔料に少しづつ加えながら溶いていき、塗りやすい濃度にして使うわけです。混ぜ方や水加減により、定着や発色まで変わってくるといい、かなりの熟練が必要とされます。

牛からつくった膠の写真
金堂の塗装には、牛からつくった 膠(にかわ)が使用されています

展示品のお知らせ

慧日寺資料館に塗装色見本と建築材の一部を展示しています。

塗装色見本と建築材が展示されている様子の写真

ヒノキの柱材など、実際に手にとってご覧いただけますので、是非ご来館ください。

甦る古代金堂 慧日寺金堂の復元シリーズ

第1回 基礎工事
第2回 原寸図の検討
第3回 屋根材の加工
第4回 柱材の加工
第5回 塗装 その1 赤
第6回 現地組み立て その1
第7回 塗装 その2 緑・黄・白
第8回 現地組み立て その2
第9回 現地組み立て その3
第10回 現地組み立て その4
第11回 現地組み立て その5
第12回 現地組み立て その6
第13回 現地組み立て その7
第14回 現地組み立て その8
第15回 現地組み立て その9
第16回 金具・須弥壇の漆塗り
第17回 現地組み立て その10
第18回 竣工
第19回 落成式
第20回 一般公開

このページの先頭へ