本文
2026年11月1日付で行政経営課内に「aX共創準備室」を設置しました。
(左から)新井CAIO補佐官、五十嵐準備室長、菅原CAIO、玉橋副CAIO、金子CAIO補佐官
磐梯町ではこれまで、全職員が生成AI等を利用できる環境整備を進めてきました。aX共創準備室は、その先にある「AI時代の行政経営」を見据えた組織です。2027年4月の正式な「aX共創室」発足を目指し、約5か月間の先行実践を行います。
「そもそも、この仕事は本当に必要なのか」。磐梯町が今回の取り組みで出発点に据えたのは、役場の仕事そのものを問い直すことです。
人口減少が進むなか、自治体には限られた人材や予算で行政サービスを維持していくことが求められています。人口約3,000人の磐梯町も、こうした課題に向き合う自治体の一つです。同町では、すでに全職員がAIを使える環境を整備しています。しかし、AIを個々の業務を効率化するためのツールとして使うだけでは、役場が担うべき仕事や、予算・人材の使い方まで見直すことはできません。
そこで今回、AIの活用範囲を日々の業務から行政経営全体へと広げ、行政機能や組織の仕組み、職員の働き方を改めて検討することにしました。人口約3,000人という町の規模を生かして機動的に実践し、そこで得られた成果や課題を今後の自治体行政にも生かしていくことを目指します。
なお、「aX」とは町が「人間が、AIと共創・協働して、人間中心の行政・地域・社会等を再デザインするプロセス」と定義した言葉です。AIの導入そのものを目的とせず、人間が主体となって行政や地域のあり方を考え直すことを重視しています。
新しい技術や仕事の進め方を試すには、日常の行政サービスを安定して提供することと、既存の仕組みにとらわれずに挑戦することの両立が必要です。そこで活用するのが「出島組織」と「サンドボックス環境」です。出島組織とは、通常の行政運営とは役割や時間を分け、先行的な検討や実践を機動的に進める組織です。一方、サンドボックス環境とは、砂場のように範囲や条件を決めたうえで、安全に試行・評価できる実証環境を指します。
また、今回の取り組みでは技術に加え、業務手順や制度上の運用も検証対象とします。日々の行政サービスへの影響を抑えながら、新しい技術や組織運営、ルール作りを試していきます。なお、実証にあたっては関係法令を遵守し、個人情報保護や情報セキュリティにも配慮します。

出島組織とサンドボックス環境の役割・必要性
実証で得られた成果は、効果だけでなく、適用できる条件や課題も含めて整理します。検証結果を踏まえて庁内への展開を判断するため、すべての実証を直ちに全庁へ広げるものではありません。また、町の条例・規則・要綱等に関係する事項についても、関係法令や必要な手続に従って検討を進めます。
今回の取り組みでは、実際に参加する職員がその過程を経験することも重視します。先行して参加する職員は、課題の発見から仮説の設定、組織・システムの設計、実証、改善までを経験します。これらを通じて、職員自身が課題を見つけ、解決策を考え、必要に応じて仕組みを変えていく力を身につけることを目指します。組織づくりと人材育成を別々に進めるのではなく、実際の仕事を見直す過程を職員の成長にもつなげていきます。
磐梯町は、正式な組織の発足を待たず、まず小規模な体制で実践を始め、その経験を正式な組織づくりに反映する方法を採用しました。2020年にデジタル変革戦略室を設置した際にも、準備室からスタートし、その後、正式な室へ移行した経緯があります。
今回も約5か月間の先行実践を通じて、AIを前提とした行政組織やシステムのあり方を検討します。実際に試してみることで見えてくる課題や改善点を、2027年4月の正式な組織への移行に活かす考えです。
この期間は役場の仕組みをつくることに加え、職員自身が行政の課題を捉え、組織やシステムを設計できるようになるための準備期間でもあります。

準備室から始める組織設計と人材の変容
aX共創準備室が主に取り組む対象は、次の4つです。
行政経営の見直しを最上位の目的に置き、課題や問いの設定、仮説づくり、設計、実証、検証という流れで取り組みます。
実証テーマとして想定しているのは、AIを前提とした行政機能の見直し、職員の能力や働き方、地域での共創、自治体間の連携、行政運営に関するルールの見直しなどです。個別の実証内容や成果については、検証の進展に合わせて順次公表します。

aX共創準備室が検討する具体的な取組と実践の考え方