楽しい食生活を送るために [7] 歯周病の罹患率と危険因子
歯周病の発生頻度、年齢、特徴、危険因子などは1940年頃より調べられています。そこから分かってきた世界共通の特徴は、40歳以上の人は、ほとんどが歯周病であること、そのうち50%は中程度の歯周炎であること、10%の人は歯肉炎のまま進行しないこと、10%の人は重度の歯周炎になることです。歯肉炎と歯周炎の違いは前回説明したように、歯と歯ぐき、あるいは骨とくっついている部分が壊されるかどうかです。
この特徴が示していることは、単に歯磨きをしないと歯周病が進行してしまうということではなく、それぞれ10%の人は歯周病になりにくいか、あるいは他の人よりも悪化しやすいということです。もし、悪化しやすいタイプの歯周病であるならば、徹底した治療と予防プログラムが必要になります。
歯周病を悪化させる主な危険因子は喫煙と糖尿病です。その他にアルコール、ストレス、骨粗鬆症などが挙げられます。
喫煙者はタバコを吸わない人と歯垢の量が同じであっても歯周病が進行しやすくなります。それはタバコに含まれる有害物質によって細菌に対する防御力が低下したり、治療に対する治りが悪くなったりするためです。歯周病で喫煙者の方は、歯周病の治療だけでなく禁煙が必要になります。
糖尿病も細菌に対する防御力を低下させます。また、歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目)に糖が出るので、細菌の繁殖が活発になります。歯周病で糖尿病の方は、歯周病の治療だけでなく、糖尿病のコントロールが必要になります。
歯周病の予防はプラークコントロールとともに、必要に応じて禁煙や糖尿病の治療も大切であるといえます。
奥羽大学歯学部附属病院 宮尾 益佳