ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 組織でさがす > 文化・生涯学習課 > くすりとヤスリ/磐梯町の伝説と昔話

くすりとヤスリ/磐梯町の伝説と昔話

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年11月1日更新
磐梯町の伝説と昔話 

 

くすりとヤスリ

あったどよ。

あのナ、隣の父っつぁまが来ただど。

「婆さん、婆さん、おら家の息子、今日、町っつぁ行ぐんだげんじょ、何か用無ぇがよ。」 っつったんだど。

「あぁ、そうだ、そうだ。おれナ、薬無ぐなってんだわい。
行くべと思ったって、この年で、中々、行がんにぇがら、
そんじゃな、そっちの家の息子に薬買ってくるように頼んでくんつぇ。」 って言っただど。

「あ、分がった。」 って、父っつぁま言っただど。

そして、息子に 「隣の婆さまの薬、忘んにぇで買ってくんだぞ。」 って言ってやったんだど。

「あぃ、すぐ帰ってくっからな。」 つって若ぇ者が、てって、てってと行っただど。

そうして、帰ってきただど。

こっちではナ、隣の婆さま来て待ってただど。

「俺は歩がんにぇげんじょ、若ぇ者は足が速ぇがら、もう、行って来たんだべな。」
なんで言いながらお茶飲んで待ってただど。

そごさ、帰ってきたど。

「あぁ、いま来たよ。」
「そうが、そうが、ご苦労だったな。」
「買い物、いっぺしてきた。」
「おめぇはナ、若げぇがら足が速ぇわいな。」 なんて言って、お茶飲んでだど。
そして 「隣のばぁっちゃん、来て待ってんぞ。薬買って来たが。」 つっただど。

そしたらナ、息子、何にも言わねで
「これ、みんな。買って来ただ」 っつって引っ込んじまったがら、
「婆ぁさん、薬買って来たべ。おら家(げ)の息子。」 って言って広げて見たんだど。

そうしたら、薬なんつうものは何ぼ探しても無ぇだど。

「何だ。薬無ぇぞこら。薬買ってこねがったのがぁ。」 っつっただど。

そしたら、若ぜ者は「そごにヤスリあんべ。」 つったど。ヤスリ

 

「ヤスリん無ぇ。薬だぁ。」 つったど。

「なぁに、隣の婆ぁさん、ヤスリど薬だら、ひと擦りだべ。

何、ひと擦りぐれ、まんにゃせだらよがんべ。」 って若ぇ者言ったど。

あったど昔、さげぇました。

Adobe Reader<外部リンク>

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)