ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

尿酸のはなし<2014年4月>

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年11月1日更新

さて、今回は「尿酸のはなし」です。症状はなくて健康診断で血液の尿酸が高いと指摘される方がいます。中には関節の痛みや腫れなどの痛風発作をおこす方もいます。

高いと困る尿酸

細胞の中には遺伝子の成分として核酸があります。肉や魚に多く含まれる核酸 は消化吸収・分解されると尿酸となり老廃物として腎臓や小腸から排泄されま す。ビタミンCと同じように抗酸化作用を持つといわれますが、血中濃度が高 すぎると、心臓血管系の病気(狭心症や心筋梗塞)が増加したり、結晶化して関節に炎症を起こしたり(痛風発作)、尿中排泄が増加し尿路結石や腎障がいを引き起こします。また、メタボリックシンドロームになると血中インスリンが増加し尿酸が高くなると考えられ、メタボの指標とも考えられます。この高尿酸血症は増加傾向にあり、成人男性の20%、女性は1~3%に見られます。痛風は男性の1%に見られます。一方、抗酸化作用のため脳卒中の際はある程度尿酸が高い方が脳の保護作用により予後が良くなる傾向があります。血中尿酸値が7mg/dlを超える場合高尿酸血症と診断されます。女性の場合この7以下でも尿酸が上昇すると生活習慣病のリスクが増えることがわかっていますが積極的に薬物療法を行うべき証拠がまだなく、今後の研究成果が期待されます。

低すぎても困る尿酸

一般的に2mg/dlを下回ると低尿酸血症とされます。男女差なく1000人に1~4人程度見られます。腎臓からの排泄が多い場合がほとんどで普段は症状がありませんが、運動後急性腎不全を起こす場合は治療が必要となります。まれですが、尿酸を作る酵素に異常があり関節炎や尿路結石を作る場合も治療が必要となります。

治療の考え方

  • 尿酸が7mg/dl以上の場合
  1. 痛風発作がなければ食事療法・運動療法・アルコール制限などの生活習慣の改善で経過を見ます。
  2. 痛風発作がなくても尿酸が8mg/dl以上でメタボリックシンドロームなどの合併症や腎障がいがある場合は尿酸を低下させる薬物療法を考慮します。医師へ相談しましょう。
  3. 痛風発作や尿路結石がある場合や、尿酸が9mg/dlを超えている場合は尿酸を下げる薬物療法が推奨されます。医療機関を受診しましょう。
  4. 原因として悪性腫瘍で尿酸が上昇する場合があり注意が必要です。他に生活習慣病の合併がある場合は治療を行います。

生活習慣改善のポイント

  1. 食事…肥満は解消が必要でカロリーは控えめに。肉や魚の内臓類はプリン体が多く注意。最近注目されているのは清涼飲料水、特に果糖を多量に含むものは尿酸を上げるので控える。塩分、脂質も摂りすぎに注意する。水分は多めに取り1日2000mlの尿を目標とする。尿酸は酸性で結晶化するので尿をアルカリ化する野菜、いも類、海藻類をとる。乳製品やコーヒーの摂取は痛風発作を減らすが摂りすぎは注意が必要。
  2. 飲酒…種類は問わず過剰摂取は慎む。高エネルギーでプリン体を多く含むビールは注意。目安として1日、日本酒であれば1合まで、ビールにして500ml、ウイスキーは60ml程度まで。
  3. 運動…過激な運動、無酸素運動は血中尿酸値が上昇するため避け、週3回程度の軽い有酸素運動を継続することが望ましい。
  4. 休養…ストレスはためずに解消するようにする。睡眠時間を含め十分に休養を取る。 高尿酸血症の方に多く合併しているメタボリックシンドロームを改善もしくは予防し、尿酸を上げずに痛風発作や尿路結石を予防する工夫が重要です。無理なく毎日できることをコツコツ続けることが大事です。


磐梯町医療センター 医師 屋島 治光

Adobe Reader<外部リンク>

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)