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ブラキシズム(歯ぎしり)について<2014年2月>

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年11月1日更新

食事や会話などとは別に、上下の歯を無意識的に咬み合わせることをブラキシズム(歯ぎしり)といいます。ブラキシズムと聞くと難しい病気と思われるかもしれませんが、実は珍しい現象ではなく、一般的には、半数以上の人がこの習癖を持っているとされています。

起床時や仕事や勉強の後などに顎がだるく感じる方は、気づかぬうちに歯ぎしりをしているかもしれません。みなさんもこのような経験をされたことはないでしょうか。今回は、ブラキシズムの種類や症状、原因、治療について紹介します。

種類と症状

睡眠中に歯ぎしりをしているイラスト 

ブラキシズムは2つに分類されます。まず、「ギリギリ」と音をたてて強く歯をこすり合わせる、いわゆる歯ぎしりです。睡眠中に発生することが多く、歯のすり減りが起こりやすいのが特徴です。

次に、上下の歯を強く咬みしめる食いしばりです。音をたてることがないため、他人に指摘を受けることもないので、症状が出るまで気づきにくいでしょう。症状としては、歯や人工物(被せ物)が割れる・欠ける・歯がすり減る、歯が浮いたように感じる・揺れる、冷たい物がしみる、顎に痛みやだるさを感じる・顎が開きづらいなどがあります。

原因ってなに?

一般的に中枢性のストレスに対する生体の反応とされていますが、その他に咬み合わせなどにより顎の筋肉の緊張がアンバランスとなっていることなども影響しています。虫歯で歯が痛い、高さが不適合な金属冠がある、歯の抜きっぱなしなどによる咬み合わせの狂いなどがある場合には歯ぎしりや食いしばりが起こりやすいと言えます。

さらに、精神的、または肉体的なストレス下にある場合も増強されます。歯ぎしりや食いしばりをすることによって、生体は不安や憂鬱などのストレスを発散させているといわれています。このように歯ぎしりや食いしばりの原因は中枢性のストレスや、精神的・肉体的なストレス、お口の中の環境、全身疾患、お薬の副作用など様々な因子が絡んでいます。

治療法って?

咬み合わせの改善には、物理面、心理面など、さまざまな方向からアプローチする治療法があります。

  1. 認知行動療法というもので、症状の原因となる習慣は、無意識に行っていることがほとんどです。この悪い習慣を自覚する(認知する)ことで、意識的に排除します。例として、片側で咬む、横向きに寝る、頬杖をつくやストレスなどがあります。
  2. スプリント療法といい、「スプリント」という器具(マウスピース)を、就寝時に装着する治療法です。スプリントは、歯科医院で型を取って作製します。顎関節や筋肉の安静、咬み合わせの適切化、歯ぎしり・くいしばりなどのブラキシズム防止の効果が期待できます。
  3. 歯を物理的に治療することで、咬み合わせを整えます。詰め物・被せ物・差し歯などの人工物が影響している場合はもちろん、天然歯であっても上下の歯がうまく咬み合っていないことがありますので、咬むときの力がきちんと分散するよう調整を行います。人の口の中は非常に繊細であるため、歯の高さを0.1ミリ変えるだけでも咬む感覚が変わり、咬み合わせを改善することでさまざまな不調を解消することが可能です。

現在、歯ぎしりでお悩みの方、あるいは歯ぎしりによって噛み合わせがすり減っている、歯がしみる、顎が痛い、といった症状がある方は一度、医療センターの歯科を受診してみてはいかがでしょうか。


奥羽大学歯学部付属病院 歯科医師 永田 裕紀

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