ロコモティブシンドローム<2013年10月>
日本語では運動器症候群と訳される新しい概念です。骨、関節、筋肉などの体を動かすことにかかわる運動器の衰えによって要介護になりやすい状態のことを指し、長寿国となった日本では、運動器を長期間使い続けることにより、障がいも増加しています。
原因として、骨や関節の病気、筋力の低下、バランス能力の低下の3つがあげられ、その代表的な病気が、骨粗しょう症、変形性関節症、脊柱管狭窄症です。
骨粗しょう症は自覚症状の乏しい病気です。背中が丸くなる、身長が縮むといった症状は徐々に起こるためなかなか病気であると気がつきません。したがって、気がついたときには病状がかなり進行していたということも少なくありません。骨粗しょう症によりもろくなった骨は、体の重みが加わるだけで潰れてしまうことがあります。これを圧迫骨折といいます。圧迫骨折が起こると背骨が丸くなったり、身長が縮んだり、痛みを伴ったりします。
背が縮んだように感じる、または実際に身長が縮んだ、背中や腰が曲がったように感じる、背中や腰の痛みのために動作がぎこちない、何を食べてもすぐおなかがいっぱいになる、息切れしやすい、掃除や洗濯物を干すのが億劫、外出がつらいなどの症状がある方は骨粗しょう症の疑いがあります。
骨粗しょう症には、加齢や閉経、栄養不良による原発性骨粗しょう症、たばこや、アルコール、運動不足、糖尿病、慢性腎臓病、動脈硬化、閉塞性肺疾患、などの生活習慣病によるもの、特定の病気で必要な内服薬による続発性骨粗しょう症に分けられます。
予防や治療法
カルシウム、ビタミンD,Kを多く含んだ食品の摂取、適度にタンパク質を取り、バランスの良い食事を心がける。 ウオーキング、階段の上り下り、など骨に体重をかけるような運動や、背筋を伸ばしてみる、体のストレッチの運動を取り入れてみるなどがあります。
治療薬
活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、女性ホルモン製剤、ビスフォスフォネート製剤、サームと呼ばれる女性ホルモンの類似製剤、カルシトニン製剤(注射薬)。また、骨密度が非常に低い方に使用されているテリバラチドという副甲状腺ホルモン製剤は、1日1回患者さんが自分で注射するものと、週1回医療機関で注射をするものと2種類あります。
誰もが健康に人生を送りたいと思われるはずです。心当たりのある方、ぜひ一度骨密度を測定していただき、最寄りの医療機関で相談してみてください
磐梯町医療センター 医師 田部 宗玄