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初めて入れ歯を使う方に<2013年2月>

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年11月1日更新

虫歯・歯周病・外傷・加齢変化など様々な原因によって歯を失う事があります。そのような場合、補綴的(補う)治療で口腔内の機能を回復する必要があります。今回はその中でも最終的な治療方法である入れ歯についてお話したいと思います。入れ歯は、ブリッジやインプラントといった自分の歯で食べている感覚がある治療法では対応できない、より重度な症例に適応される事が多いものです。

入れ歯の役割は、お口の機能(食べる・しゃべる・見た目など)を回復し、顔面の形態変化や歯を失うことによる弊害を予防する目的で使われます。皆さんは入れ歯に対して「痛い」「喋りにくい」「年をとって見える」「手入れが大変」など多くのマイナスのイメージを持っている方が多いと思います。そのため入れ歯を新しく作るのに抵抗がある、持っていても使わない方が多いと思います。しかし入れ歯なしで食べられたとしても、入れ歯をしていないと歯が抜けている部分のすぐ隣の歯が倒れ込んできたり、噛んでいた相手の歯が伸びて挺出きたりして、抜けた歯の空間を埋めようとします。そのため、歯の並びが悪くなり、歯ブラシで磨くことがより困難になり、現在残っている歯が虫歯や歯周病になる原因になります。お口に何らかの痛み、違和感を覚えたらなるべく早く歯科医院に行き治療を受けましょう。

入れ歯と歯科医のイラスト

入れ歯は、歯科医院で時間をかけ患者さん一人一人に合うようにさまざまな行程を経て作製しても、できたばかりの新しい入れ歯をそのまま患者さんのお口の中にいれただけではうまく機能することは難しく、使用しながらの調整や患者さん自身がうまく使えるように訓練(リハビリ)することも必要です。入れ歯をいれている意味とできることを理解した上で、上手に付き合っていこうとする気持ちがあれば、入れ歯もうまく使いこなせるようになります。入れ歯は他の被せ物、根っこの治療、虫歯の治療と違い、入れ歯を入れたその日からが始まりなのです。

初めての義歯は大抵部分入れ歯でしょうから、話したり食べたりする時に義歯がはずれないよう残っている歯にバネをかけ、そのバネにも種類がありケースによっては使える材料も形も異なります。部分入れ歯は自分の歯が多数残っているので入れ歯の洗浄はもちろん、歯磨きの方法が自分の歯を長く持たせるには重要になってきます。入れ歯の訓練方法としては、まずは入れ歯をできる限り口の中に入れ、摂食訓練と発声訓練をするようにしましょう。摂食訓練は、食品を柔らかく、細切れに調理し、食べるときにはゆっくりと時間をかけて噛むことが効果的です。食べ物の硬さは最初痛みがなくてもやわらかい物を慣れるまで食べましょう。数回歯科医院にて調整したのち徐々にご飯や麺類などで慣らしてきましょう。発音訓練は上顎や歯に舌を押しつける形により音を作るので、入れ歯の形を舌が覚える必要があります。そのため、新聞や本などは声を出して読み、発声の機会を増やすことが効果的です。また、義歯の形を微調整することで修正できることもあり、どんな言葉が話しづらいかなど、歯科医師に相談していただけると良いかと思います。

入れ歯のお手入れについては手入れすることで、残っている歯を守ることができます。

義歯はプラスチックでできているので、目に見えない凹みが沢山あり、そこに細菌や汚れが入り込みます。義歯ブラシや歯ブラシで表面の大きな汚れをこすり落とした後に、義歯洗浄剤による洗浄が効果的です。しかし、なかなか落ちない汚れを無理に取ろうとすると破損やバネの変形が起きます。バネの変形は過剰な力が歯に加わる原因になり歯をダメにしてしまいますので無理な清掃はせずどうしても汚れが取れないときは歯科医に相談しましょう。

総入れ歯は、部分入れ歯より調整が難しく、満足に食べられるまでの調整が困難です。総入れ歯は入れ歯の内側と粘膜がぴったり合うことによって保持されます。骨が痩せている人は動きのある粘膜と接触している面積が多いのでいたみが出やすくなります。自分の歯があった時には歯で支えていた咬む力も、入れ歯の下にある柔らかい歯グキに負担をかけないと、しっかり力が伝わらず食べることが難しいのです。痛みが出てきても無理に装着していると傷になり、入れ歯の調整が困難になり傷が治った後に入れ歯を合わせづらくなります。痛みが出てきたら早めに歯科医院に行き調整しましょう。

最後に、これまで入れ歯を使うための難しさについて述べてきましたが、入れ歯を嫌い、無理に歯を残すことは、かえって顎の骨を痩せさせる原因となり、合わない入れ歯に繋がります。

入れ歯を快適に使うためには、定期的な診察で継続的にお口の状態をチェックし、ダメな歯は諦めて抜くなどのタイミングが重要です。より食べ物をおいしく食べるために皆さんの口腔内状況を自身で把握しましょう。


磐梯町医療センター 医師 狩野 隆広