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柑皮症と黄疸<2012年4月>

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年11月1日更新

ようやく春が訪れようとしている今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。今年も雪かたしに明け暮れた冬でしたが、3月になってようやく早起きが少なくなったような気がします。一方で、運動不足となり、私などは自転車をローラー台の上で漕いで、なんとか体脂肪を減らそうとしています。

みかんのイラスト

さて、以前外来で驚かされたことがありました。いつも見慣れた患者さんの御顔がどうも印象が違うように見えました。皮膚の色が黄色っぽいのです。黄疸かもしれません。「どうも御顔の色が黄色くなっているようですがお気づきでしょうか」患者さんいわく「いやーわかんながったけど、みかんいっぱい食ったせいかも知んないねー。」 確かにみかんやカボチャには黄色い色素が多く含まれ、たくさん食べ続けて皮膚が黄色くなる方がおられます。この時は、血液検査で黄疸ではないことを確認しホッとしました。

柑皮症

柑橘類を過剰に接種した際の皮膚の黄染を柑皮症(かんぴしょう)と言います。みかんなどに含まれる、カロテノイドは皮膚の角質層、表皮、皮下脂肪層に沈着しやすく、厚い角質層のある手の平、足の裏が特に黄色くなります。症状が強い場合、全身の皮膚の色調が黄色くなります。黄疸とは違い、白目は黄色くなりません。原因となった食品を過剰に取ることを中止すれば改善しますし、健康には害がないとされています。

温州みかんに多く含まれる色素(カロテノイド)にベータ・クリプトキサンチンがあります。脂肪酸と結合しやすくそのまま体の中の脂肪細胞に蓄積する性質があります。この色素は活性酸素を取り除く作用があり、皮膚がんなどの発生を抑制するといわれています。

このようなカロテノイドを多く食品には柑橘類以外にカボチャ、ニンジン、ホウレンソウ、トウモロコシ、トマト、マンゴー、杏、プラム、パセリなどがあります。一方サプリメントとしてのカロテノイドの一つであるβ-カロテンの大量摂取は、発ガンや循環器疾患のいずれに対しても無効であるか、あるいは有害という報告があり、野菜などの食品として接種する以上に取る必要はないとされています。

黄疸

黄疸はビリルビンという色素が何らかの原因で血中に増加し、その結果、全身の皮膚や粘膜(白目など)に過剰に沈着した状態です。ビリルビンという色素は、赤血球のヘモグロビンという色素から肝臓で作られます。それが胆汁となり胆嚢で蓄えられ消化に必要な時に膵臓の消化液と混ざって、十二指腸に分泌されます。原因として大きく次のものに分けられます。

  1. 赤血球が大量に破壊される状態(溶血性貧血など)
  2. 肝臓が炎症などでビリルビンを利用できなくなる状態(肝炎、肝硬変など)
  3. 胆汁の流れがせき止められてしまう状態(肝炎、結石、腫瘍など)
  4. 遺伝的な体質によるもの(体質性黄疸)

1~3に含まれる病気は治療が必要な病気で、血液検査、超音波検査、CTなどのX線を用いた検査などを必要に応じ行い、迅速に原因を検索し内科的あるいは外科的な治療をおこなう必要があります。

ちなみに、みかんの栄養は、中ぐらいのみかん(1個100g)で約34kcalの熱量があり、ビタミンC、レチノール、葉酸、ビタミンB1、カリウム、ビタミンE等が豊富で、朝食時に摂取するのがお勧めです。私も柑橘類は大好きなので、ケーキなどに比べて低カロリーとはいうもののつい3個4個と食べてしまうため、みかんの様なおなかにならないよう食べ過ぎに注意したいと思います。

 

磐梯町医療センター 医師 屋島 治光

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