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熱中症について<2011年7月>

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年11月1日更新
熱中症に苦しむ人

熱中症とは、読んで字のとおり、熱に中(あた)るという意味をもっていて、体の中と外の「あつさ」によって引き起こされる様々な体の不調です。熱中症は、熱波により主に高齢者に起こるもの、幼児が高温環境で起こるもの、暑熱環境での労働で起こるもの、スポーツ活動中に起こるものなどがあります。熱中症というと、暑い環境で起こるものと思われますが、スポーツや活動中においては、体内の筋肉から大量の熱を発生することや、脱水などの影響により、寒いとされる環境でも発生しうるものです。また、前日までに比べ、急に気温が上がった場合、梅雨明けをしたばかりの時、気温はそれほどでなくとも、湿度が高い場合、活動場所が、アスファルトなどの人工面で覆われているところや草が生えていない裸地、砂の上などの場合、普段の活動場所とは異なった場所での場合(涼しいところから暑いところへなど)は特に起こりやすいといわれています。

熱中症は、大変に身近なところで起きています。そのため、十分にその危険性を知っておくことが必要です。従来、医学的には熱けいれん、熱疲労、熱射病の3つの病態に分類されています。また以下のように熱中症の重症度により分類がされています。

太陽のイラスト
  • 1度は軽症度に分類され、四肢や腹筋などに痛みを伴ったけいれんや、脈が弱くなったり、呼吸回数が多くなったり、顔色が悪くなったり、数秒程度の失神といった症状も含まれます。
  • 2度は中等度で、めまい感、疲労感、虚脱感、頭重感(頭痛)、失神、吐き気、嘔吐などのいくつかの症状が重なっておこることが多く、血圧の低下、脈が速くなり皮膚の蒼白、多量の発汗などのショック症状が見られます。
  • 3度は重症度で意識障がい、おかしな言動や行動、過呼吸、ショック症状などが、2度の症状に重なり合って起こり、中枢神経系を含めた全身の多臓器障がいとなり、命にかかわることになります。

 

灼熱の太陽で汗をかく人のイラスト

睡眠不足は熱中症を引き起こしやすく、発熱、疲労、下痢(便通の状態)、二日酔い、貧血、循環器疾患なども原因となるので、チェックが必要です。特に暑い時期は下痢になりやすいですが、下痢は脱水状態を引き起こし、水分を摂っても吸収が悪くなっています。

普通の生活を送っていても、寝ているだけでも「汗」はかいています。水分補給の考え方は、このかいてしまった汗を、食事や飲み物をとることによって補う、ということです。

ただ、水だけを摂っても、吸収のスピードがあまり良くないため、脱水からの回復があまり早くありません。薄い塩分と糖分を含んだスポーツ・ドリンクは、吸収が早いのですが、糖尿病や心臓病の方は取りすぎに注意しなければいけません。

3度の重症の熱中症は命にかかわるため直ちに救急搬送する必要がありますが、熱中症の発症者に対して、応急手当を行うのに必要な物として、

  1. 冷却剤(氷嚢、アイスパックなどと、冷水を作るために十分な量の氷)
  2. 送風器具(送風できるものならば、団扇、扇風機、服など、どのようなものでも可)
  3. 水もしくは ぬるいお湯(可能ならば、霧吹きを用意し、その中に水を入れておく)
  4. スポーツ・ドリンク(塩分濃度0.1~0.2%、糖分濃度3~5%で、5~15℃程度に冷やしたもの)が挙げられます。

 

ペットボトル飲料のイラスト

傷病者が発生した際はそれがまずどのような症状かを観察します。具体的には、まず、意識の状態を確認して下さい。名前を呼ぶ、肩を軽くたたく、応答ができるならその者が絶対にわかるはずの質問をするなどをしつつ、意識の状態がどの程度なのかを判断してください。あわせて、生の兆候(意識、呼吸、脈拍、顔色、体温、手足の温度など)のチェックを継続して行き、手当に必要なものを用意します。

  1. 安静をとらせる。安静を保てる環境へと運び、衣服を緩める、また、必要に応じて脱がせ、体を冷却しやすい状態とします。
  2. 涼しい場所(クーラーの入っているところ、風通しの良い日陰など)で休ませる。症状に応じて、必要な冷却を行います。
  3. 意識がはっきりしている場合に限り、水分補給をおこなう。意識障がいがある、吐き気がある場合には、医療機関での輸液が必要となります。

 

今年は放射能問題や、電力不足による節電の勧めもあり、閉め切った室内でエアコンも使わずに高温となった環境下では、熱中症が起こりやすいと予想されます。

換気、打ち水、エアコンの設定温度を高めに設定する、扇風機を活用するなど家庭に合った方法で、工夫して暑い夏を乗り切ってください。


磐梯町医療センター 医師 田部 宗玄