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蜂刺されについて<2009年11月>

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年11月1日更新
ハチのイラスト

朝、晩はだいぶ冷え込むようになってきました。少し前までは福島県内でも蜂刺傷による被害が報告されていましたが、11月に入るとだいぶ活動はおとなしくなってきますが、日中暖かい時もあり、まだ油断はできないかもしれません。

蜂刺されのほとんどが7月から10月までの間に起こりますが、毎年、日本全国で蜂に刺されて何人ぐらいの方が亡くなっているのでしょうか。おおよそ、年に30人ほどです。その約8割ほどがスズメバチによるものと思われます。蜂にもいろいろ種類がありますが、よく刺す蜂はスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチ、クロスズメバチなどです。

スズメバチの中でもよく人を襲うものはオオスズメバチとキイロスズメバチです。オオスズメバチは体長4センチメートルほどにもなる大型の蜂で、ミツバチやキイロスズメバチを襲い巣を全滅させます。このため神経過敏になったキイロスズメバチは10月ごろになると巣の近くの動くものに対し、なんでも攻撃するようになります。

アシナガバチにはセグロアシナガバチ、フタモンアシナガバチなどの種類がありますが、体長は2センチメートル位、細身で腰の部分が細くくびれていて、長い足を引きずるようにして飛びます。軒下、戸袋、生垣、植木などに巣を作り植木の手入れ中や取り込んだ洗濯物の間に入っていて刺されることが多いのですが、スズメバチのように積極的に襲ってくることはほとんどありません。

ミツバチはほとんどが養蜂業者によって飼われているので刺される方はある程度限定されます。ミツバチは他の蜂と違い、針に逆向きのとげ(釣針のかえしのようなものです)があるので一度刺すと抜けず、飛び立つと体の一部を残してしまい蜂は死んでしまいます。これはミツバチに限られたことで、蜂は一度だけ刺す、と言われる所以でもあります。

蜂毒の成分としてはミツバチ毒にはヒスタミンという生体アミンが主なもので、アシナガバチやスズメバチではこれにセロトニンという物質が加わります。また、刺された時の痛み時の赤み、発熱、腫れの原因物質である蜂毒キニンという物質も多く含まれます。

症状は蜂毒そのものによる局所症状と、アレルギー反応による全身症状に分けられます。年間30人程度の蜂刺されによる死者の大部分はアレルギー反応(アナフィラキシー反応)によるものです。蜂に刺されると熱いような痛みを感じますが、数時間で消えるのが普通です。しかし、スズメバチは毒の量が多いため全身がしびれるほどの痛みを感じることがあります。刺される場所は腕、手、顔面、頭部、背部、下腿など、眼に向かって飛んでくることも多く、まれではありますが眼の刺傷が問題になることもあります。

重症となるアナフィラキシー反応は、蜂毒の抗原と元々体の中にある抗体が反応し、ヒスタミンなどを放出することにより症状が出現します。アシナガバチとスズメバチとの間には共通の抗原性がありますが、ミツバチとの間にはありません。刺されると15分以内にショック状態となり、意識がもうろうとしたり、喉がむくんだり、喘息のような発作が起きたりします。軽症の場合には全身の蕁麻疹(じんましん)、呼吸困難、悪寒、動悸などの症状が出ます。全身症状が出る人は過去の蜂刺傷歴と関係があるといわれています。

予防としてはジュースなどの甘味や香水、ヘアトニックなどを避け、食べ残したものは包んで捨てる。ひらひらした服や光るブレスレットは身につけず、服装は長袖、長ズボンはもちろんですが、一般に白い服がいいといわれていますが、一番いいのが迷彩色の服だそうです。声を出して騒いだりして蜂を刺激するのも良くないです。

治療方針ですが、局所症状には軟膏を塗ったり、氷で冷やしたりします。アンモニア水は以前はだいぶ使われていましたが、現在ではあまり意味がないといわれています。

重症の全身症状に対しては強心剤の注射を行います。点滴は行いますが、気道の確保が必要になることもあります。

いずれにしても蜂に刺された時は早めの受診が必要ですが、アナフィラキシー反応は刺されて15分以内に起こります。一度でも蜂に刺されたことがある人は要注意です。仕事上常に蜂に刺される環境にある人は、自分の体の中に蜂の毒素に対する抗体がないかどうか調べる血液検査もすることができます。転ばぬ先の杖とはいいますが、シーズン前の受診をお勧めします。

磐梯町医療センター  田部  宗玄