秋とゆううつ<2009年10月>
天高く馬肥ゆる秋、芸術の秋などとこの季節のすばらしさを表す言葉は多くありますが、これから冬にかけてうつに注意が必要な時期でもあります。
一年を通してうつ病の発生が最も多いのは春から夏にかけて、次に秋から冬にかけてです。気温の日内変動や日照時間の変化が原因ではないかと考えられています。
うつ病は身近に不幸があった後に生じやすく、気分が落ち込み、食欲がなくなったり、眠れないなどの症状が長期にわたり持続する場合をいいます。
自殺の主な原因は約3割がうつ病で、薬物乱用(アルコール依存症)、統合失調症、人格障がいなどが続きます。
全国的に近年の自殺者は年間3万人に達しており、折しも世界的な経済状況の悪化に伴う今後の自殺者の増加が懸念されています。その早期発見と予防に努める必要があります。
大切なことは身近な人、家族や友人、職場の同僚や上司の方がいつもと違う様子に気づいてあげること、そして早めにかかりつけ医や専門の医療機関へ受診させることです。自殺予防の10カ条を参考にしてください。
自殺予防の10カ条
次にあげるサインが多い場合は自殺の危険がせまっています。早い段階で専門家に受診させてください。
- うつ病の症状
- 原因不明の身体の不調が長引く
- 酒量が増す
- 安全や健康が保てない
- 仕事の負担が急に増える、大きな失敗をする、職を失う
- 職場や家庭でサポートが得られない
- 本人にとって価値あるものを失う
- 重症の身体の病気にかかる
- 自殺を口にする
- 自殺未遂に及ぶ
(高橋祥友 自殺の予兆 厚生労働省編「職場における自殺の予防と対応」より)
磐梯町医療センター 屋島 治光