メンタルヘルスについて<2008年3月>
待ちに待った春の到来が近づいてきました。春は、就職や、入学、進学、転勤、引越しなどの季節です。今回は心の健康を保つためのお話です。
環境、生活習慣の変化により、心理的状況や変化につながりストレスを感じやすくなり、さまざまな症状が起こりやすくなります。
具体的にいうと、緊張、不安、あせり、憂鬱、イライラなどの心の症状、頭が重い、めまいがする、肩がこる、疲れやすい、食欲がなくなるなどの体の症状、会社や学校へ行けない、声が出ない、怒りっぽくなった、黙り込む、酒やタバコの量が増えたなどの行動の異常がみられます。
同じ環境下でもストレスを感じる人と、感じない人がいますが、これは適応力に関係がありそうです。
神経質な人、内向的な人は社会や環境への適応が乏しいため、ストレスに負けやすくなります。また、逆に真面目で頑張り屋の人は自分を抑えてでも人に合わせたり、全部自分で背負い込むため無理をする過剰適応型となります。また、何事にもマイナス思考の人は、いつも自分を責めたり周囲を敵視してしまうため心が休まる暇がありません。
不真面目なのはもちろんよくないのですが、まずは真面目になりすぎないこと、何事にも、適当、適切、よい加減に取り組んでゆく(無理をせず、ほどほどに)こと、また生活習慣を見直し、体を健康にすることも心の健康にもつながります。
- 1日わずかでも(10分から15分でも)仕事のことはすっかり忘れて、運動に集中する時間を作る。
- 睡眠について十分にとるのはもちろんですが、時間の取れない人でも「睡眠の質」にこだわってみてください。
- 心の休養(リラックスできる)の時間を持つ、積極的に気分転換を図る。
- 食事はできるだけ家族で楽しく食べるようにする。 ただ食べるだけの栄養補給物にならないようにする。
- 仕事はどうせやるなら楽しく。無理はしない。
- ひとりぼっちにならないこと。 おしゃべりをしたり悩みを相談できる友人をもつこと。
これらのことに気を配っていても私たちも人間、どうしてもいらいらしたり、不安を感じたりすることもあります。そういったときにある程度効果のある呼吸法があります。
腹式呼吸で呼吸を整えることは気持ちを落ち着かせ心身ともにリラックスできます。また、いつでもどこでもすることができます。
ポイントは鼻から大きく息を吸って、口からゆっくり息を吐くこと。気持ちが落ち着いていくというイメージを持って行うといいでしょう。
歌を歌うのが好きな人にはお勧めですが、腹式呼吸と同じ効果があるのが歌です。カラオケなどでも好きな歌を大きな声で楽しく歌えば何よりのリラックス法になります。
自分の心の健康が保たれていると、他人の心の健康に対して気になります。
一般的に体の不調がある人に対して周囲の人は、その人を休ませてくれますが、心の不調がある人に対しては励ましたり、諭してくれる人もいることでしょう。心の病を持つ人にはこれは逆効果になりかねません。そういう人には、抱えている不安や不満などをできるだけ聞いてあげることです。本人のペースで自分から話してくれる機会に聞いてあげ、アドバイスを。
いずれにしても、過度のストレス状態や、自殺願望など医療介入が必要なケースもありますので、症状が重そうな場合は医療機関の受診をお勧めします。
磐梯町医療センター 田部 宗玄