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楽しい食生活を送るために [13] 大きい入れ歯小さい入れ歯

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年10月13日更新

歯のイラスト

前回は部分入れ歯の大きさはできるだけ大きい方がよい理由をお話ししました。今回は総入れ歯についてお話しします。

総入れ歯は人工の歯と咬む力を受け止めるピンクの床の部分から構成されています。痛みがなく安定した入れ歯にするためには、床の部分の面積をできるだけ広くすることが有利なのです。

それは、砂地をハイヒールで歩くと沈み込みますが、長靴で歩くと沈み込むことがないのと似ています。つまり、この部分の“面積を広くする”ということは粘膜へのくい込みを少なくする効果があるのです。

また、外れない入れ歯という観点からみても大きな入れ歯は有利になります。総入れ歯は顎の粘膜に吸盤のように吸い付き、その吸着力によってはずれないようにしているのです。この吸着力を大きくするためには、面積がひろいこと、床と粘膜との間に唾液が介在していること、床が粘膜に密着していることが条件になります。

ちょうど、二枚のガラス板を重ねたとき、ガラスの面積が広いほど、ガラスの間隔が狭いほど、そしてガラスの間に油などの液体が介在するほど、二面間の引き合う力が大きくなるのと似ています。

患者さんの中には喉の奥に違和感があり、しゃべりづらいとか味がしないといった理由から、入れ歯の喉に近いところを短くするように訴える方がいます。

短くすれば不快感は取り除けるかもしれませんが、喉の方には唾液が出る穴があり、それを覆うまで入れ歯の後方を伸ばさないと、床と粘膜との間に唾液を取り込むことができなくなります。総入れ歯では乾燥した粘膜よりも唾液が介在した濡れた粘膜の方が吸い付きがいいのです。

歯科医師が入れ歯を大きくするのには理由があります。新しい入れ歯を作ったときは自分風に直ぐにカスタマイズするのではなく、まずはその大きい入れ歯に慣れるように心がけてみてはいかがでしょうか。

 

奥羽大学歯学部附属病院 関根 貴仁