楽しい食生活を送るために [8]
1965年、健康な歯ぐきの人に歯磨きを3週間中止してもらう実験が行なわれました。歯磨きを中止して10日目には歯ぐきに炎症が起こっていました。その後、歯磨きを再開すると炎症は治りました。この実験よりプラークコントロール、すなわち日々の歯磨きの重要性がわかったのです。
歯磨きといっても個人の歯並びや磨き癖が関係します。上手く磨くコツをつかむ必要があります。
歯ブラシを一筆書きになるように動かしていけば、すべての歯に毛先が当たるので磨き残しになりません。例えば、右から左、表から裏、上から下、と決めた順番に移動させていくのです。順番はどこからでもかまわないのですが、難しい部分(下の奥歯の舌側など)から始めて簡単な所で終わるのが良いでしょう。その際、鏡を見て毛先が当たっているのを確認しながら行うと確実です。電動歯ブラシは短い時間で磨ける利点がありますが、同様の注意が必要です。
硬い歯ブラシを使うと、歯ぐきを傷つけたり、歯が削れてしみるようになったりします。軟毛か普通の硬さの歯ブラシを使うとよいでしょう。
歯磨き粉は多く付けすぎると磨いた気になりやすいので、毛先の先端に米粒程度付けるだけで十分です。
普通の歯ブラシだけで完璧に磨くのは大変です。磨き残しになりやすい部分を補うための道具があります。歯と歯の間は糸ようじや歯間ブラシを使用します。また、磨き残しがわかるように、歯垢染め出し剤を利用するのも効果的です。
「磨いている」ことと、きちんと「磨けている」ことは違います。自分の磨きに自信があったとしても、一度専門家によるブラッシング指導を受けることをお勧めします。
奥羽大学歯学部附属病院 宮尾 益佳