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弘法清水の由来/磐梯町の伝説と昔話

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年11月1日更新
磐梯町の伝説と昔話

 

弘法清水の由来

昔々、大昔のことだったど。

その頃、会津平らは辺り一面、みんな冷てぇ風が吹いて、 お天道さまの顔も拝まんにぇで、秋んなっても稲は稔んねべし、 会津平の百姓たちは、ほとほと困っちまってたんだど。磐梯山

ある年の夏も半ばの頃、

「なんじょしたもんだべな。こんなでは、もう稼ぎよね。」 つってナ、村の人達が集まっただど。

そして、いろいろな話ししてるうち、
「そうだ、磐梯山から飯豊山にナ、でっけぇ蛇でも跨ってんでねぇべが。」 つうことで、
村の人達が一戸一人づつ出て、磐梯山の山頂さ行って
「お修祓すんべ。」つうことになっただど。

 

村の人達が険しい山道を難儀しながら登って行くと、
色の褪めた、おんぼろの袈裟掛けた坊様が腰掛けっただど。

そんなの目にも入んねで、みんながどんどん、どんどんって行っただど。

そして、最後の人になったっけが、

「村の衆、村の衆、そんなに急いで何処さ行ぎなさんだ。」と聞いただど。

「あぁ、和尚様でいっさったが。 我々はナ、こうして毎日、毎日荒れでどうにもなんねがら、
早ぐ磐梯山さ登ってナ、どういうことになってか、見定めに行く訳だ。」
つったんだど。

「あぁ、それは大変だ。お困りのようだのう。
俺で役立つことがあっかねぇがわがんねげんじょも、俺もつっちぇってくんにぇげが。」
つっただど。

「あぁ、ダメダメ。そんな年寄りの行く山ではねぇんだ。
女も上がったごどもねぇような険しい山だがら、
和尚さん悪りぃげんじょも急いでっから、ごめんしてくんなんしょ。」 って、
一番最後の人が歩き出すがど思ったっけが、

「ちょっと待ってくれ。私はこんじぇも和尚様だ。
もし何かの役に立つがもしんにぇがら、決して足てまどいにはなんねぇがら、一行に入っちぇ下さらんか。」
つっただど。

「そうがよ、そんなに言わさんなら、一人でもいい。
まして坊さんなら何か拝もして貰ったらじぇくなっがもしんにぇがら、
足に気ぃ付げで、しずかに上がってきなんしょ。」
って、その人はやさしぐ言っただど。

坊様は「有り難い、有り難い」つって、
後からぼっこぼっこ、ぼっこぼっこと杖ついで早くもなし、遅くもなし、追っ掛けて来らんだど。

そうやってナ、山さ登っただど。

いやいや、風は強いし喉は乾ぐし、
そこらの食われる物喰ったり、舐めだりしながら、喉の乾きをやっと凌いでナ、山の中腹頃まで来たんだど。

「いやいや、もうダメだ。やっぱり水呑みでぇな。」
つって、みんな道端さ、クタクタクタって腰掛けっちまっただど。

そごさナ、ポッコポッコ、ポッコポッコって坊様歩って来やっただど。

「あぁ、坊さん、坊さん、やっと追いついだがし、いやいや、喉乾いで困ったもんだ。
もう、皆んな、ガッカリしちまっただ。和尚さん、こわぐねーがよ。」つったど。

「あぁ、やっと皆んなの元に届いだ。
あらあら、皆んな、足投げで、首投げで、一服していなはんのが。どうしたことだ。」と言わはったんだど。

「もうダメだ。喉が乾いでベロもようぐ回んねぐなっちまっただ。」つっただど。

「あー、それはお気の毒、お気の毒、ちょっと俺んどご、その先さやってもらんにゃべが。」

「通ってくなんしょ。通ってくなんしょ。
坊様は、やっぱり力があんな。
仏に使える身はたいしたもんだ。」って
皆んなクターとして
「坊さん、通らんしょ、通らんしょ。」と言っただど。

そごを坊さん、釈杖ついで一番先さ行ったらナ、
何か 「ムニャムニャ、ムニャムニャ」 唱えていだと思ったら、
その釈杖でな 「エイッ、エイッ、エイッ」っと、

皆んなが飛び上がるような大きな声で掛け声をかけで地面を突いだら、
いやいや、たまげたごどに、水がドンドン、ドンドン出て来たんだど。

「いやー坊さん、有り難で、有り難で」 って言いながら、
皆んなガブガブ、ガブガブ飲んだっけが力が出てきて、

「いやー、力が出てきたぞ。こんだ、この山跳んで登れんぞ。」
そういって、皆んな力が出て喜んじまっただど。

そして、坊さんは
「よかったな。皆んな、たーんと飲んで下されや。」と言っただど。

そして、また登りはじめ、坊さんは、また一番後になっただど。

お山も天気になって、勇んで山さ登っていっただど。


そしたらこんだ、それはそれはでっけぇ男がニューと立っただど。

「何だ、おめ達、人の山さ無断で入ってくっとは。」

「いや、こうこう、こう言う訳でな、何ともしょがねぇがら、
おれ達代表で来たんだ。どうが通してもらんにぇべか。」つっただど。

「何言ってんだ。ここは俺が山だぞ。一歩も入ってはなんね。承知しねぇがんな。」

いやいや、でっけぇ足見だら毛もじゃもじゃ生えだ、でっけぇ大男が立ってだつぅだ。

皆んなはおっかなぐなっちまって
「なんじょしたらよかんべな。」って相談して
「村の代表で来ただがら、ここは何とかしなぐばなんね。何じょすんべ。」つって、
皆んな黙って考えでだだど。

そうしたら、そこにナ、ちょこちょこ、ちょこちょこと坊さんが出てきてやったど。

「坊さん、坊さん。あれはおっかねよ。」つっただど。
んだげんじょ、坊さんは先頭まで出ていってな

「あぁ、これは大男の入道様でいっさったが。
おめぇ様がここの山の主でいっさったが。どうもお見逸れしました。」
てな、坊様が丁寧でまがっただど。

「おめは何だ。」

「いやいや、村の衆は困ってんだがら、どうが通してもらんにぇべが。」つっただど。

「ならん、ならん。この山と里は俺のナ、考げぇ一つでどうにでもなんだ。
今ナ、俺の化身が昼寝してんだ。飯豊山を枕にして昼寝してんだがら邪魔すんな。」

それを聞いで和尚様は
「あぁ、これの化身が蛇になって飯豊山を枕にして昼寝してんのが。
そんじゃがら会津平らは真っ暗ぐなってんだな。
それが動くたんびに雨降らせたり、風ふかせだりしてんだな。」 っておもったんだど。

「入道さん、入道さん、山の主さん。
どうも悪りごとどやしたげんじょも、そんじゃ、なんじょしたらよかんべナシ。」と言っただど。

「俺と力比べして負けたら、この山下れ。絶対だぞ。あおなたらが勝ったら通してやんべ。」

「あぁ、分かりました。有り難ぇごどだ。有り難ぜごどだ。
そんじゃ入道様、おめぇ様はそれだけの大男になれるたいした力を持って、
そして、化身が飯豊山を枕にして寝る程の大蛇どは、いやいや見上げたもんだ。
そんじゃ、俺ど力くらべすんべ。
それだけの力があんだら、いまちぃーとずなぐなってみだら。
その力、何とか拝もしでみてもんだ。」つっただど。

「おぅ、ずなぐなんのなど造作もね。」
と言うと、ずんずん、ずんずんとずなぐなってナ、頭、雲ん中さ入っちまっただど。

「あぁ、分がった。分がった。何と力のある人だべな。
えれぇ力持ってるもんだ。とっても、とっても、わしではかなわんナ。」
って感心され坊様言っただど。

そうしたら「ちっちゃくなんねっが、俺ど話もできねべ。」つっただど。

そしたら「なーに、ちっちゃくなの。」つうど、どんどん、どんどん、ちっちゃくなって、和尚様ど話できるぐれぇになったど。

「あぁ、てぇしたもんだ。 立派なもんだ。
やっぱり、そなた様は日本一の、いや、世界一のたいした技を持っる人だ。偉い、偉い。」って
坊様は褒めただど。

「そうだげんじょ、でっかくなるばっかでは、ちょっと不便だナシ。
ちょっと、ちっちゃぐはならんにぇだべが。」つっただど。

「何かだってんだ。俺の力なの、ずんなぐもなればちっちゃぐもなる。
どんなごどでも出来んだぞ。」つっただど。

「そんじゃ俺、その雲の上まで届いだおっきな体が、ちっちゃくなんのを拝みもしてみでもんだ。」
つったど。

「なーに、ちっちゃくなんのなぞ、造作ね。なんの、なんの。」って、
「ちっちゃくなって見せんぞ。」つうど、だんだん、だんだんちぃーちゃくなっていったんだど。

そんじぇ「こんじぇ、じぇーのが。」つうがら、
「もっと、もっと。」と言ってるうち赤子ぐれぇに、ちぃーちゃくなっただど。

そして、「手の平さ、上がるぐれぇにならんにぇがよ。」って言うと

「何言ってんだ。俺なの見えねぐなるぐれぇになれんだぞ。」っつうがら、

「そんじゃ、手の上がるぐれぇになってくろ。」つったど。

そうして、ちっちゃくなって、手の平の上さボンとあげただど。

「こんじぇ、じぇーのが。」
「今ちぃーと。」
「こんじぇ、じぇーのが。」
「あーあ、じぇー、じぇー。」つうど、
和尚様は手の平の上の托鉢をポッと被せてナ、洞穴こせぇで、
そごさ「入っていろ。」つって入れて、石の蓋で出らんにぇようにしちまっただど。

ちっちゃくなったがら力はねぇべし、何ぼしたって出よねだど。

そんじぇ、和尚様は「ウニャムニャ、ウニャムニャ」ど拝もして、

「おい入道、おまえはそうやって、今まで会津の人達を泣がしてきただ。
今度、おめえを俺が磐梯大明神として、神様として奉ってナ、
会津平の人、皆んなに拝ましてやっからな。おめは偉いんだぞ。
んじゃがら、その気持ちをじぇーほうに、村人のために向けでくろ。頼むぞ。」 つったらな、

その入道も考げて、
「俺は今まで、本当に悪りごどして民百姓皆んなこうやって嵐の中さ巻き込んで、
俺はじぇーきんなってナ、飯豊山枕にして高鼾かいで喜んでだ。
坊さん、悪がった。これがらは皆んなのために尽くす。」つっただど。

坊さんは、 「あぁ、聞き届げでくっちゃが。有り難や、有り難や。おまえは今日がら、磐梯明神様だぞ。」
と言ってナ、ちゃんと祠さ位入れっちまっただど。

そうしたら、会津平の霧が晴れで、スーッと明りぐなっただど。

いゃー皆んな喜んで
「あー、村が見える、村が見える。一番近ぇあそごは猪苗代っつうどごだべ。皆んな良く耐えだナ。」って、
いやいや、皆んな大喜びで

「早ぐ帰って明日がらは一所懸命やんねぐってはナ。」ど思って、
「いゃー、明神様有り難うごぜぇやした。どうが、これがらは俺達を守ってくなんしょ。」そう言ってナ、
皆んなどんどん、どんどん下がってきただど。

そうしてぐるり見だら、「おい、坊さん、居っさんねぞ。」って探したげんじょ、どごにも居っさんねだど。

「まぁ、あれだけの力のある棒様だ。 何時が帰ってくんべ。」と思って、
皆んなが村さ帰って、村人に一部始終を語って、

「明日がらは一所懸命働がなぐってはなんねぇナ。」って誓いあっただど。

そうして、会津平は米の良くとれる村になっただど。

そして、後でようぐ聞いで見だらば、あの坊さんは弘法大師様であっただど。

この坊様ってゆうのは、偉―い、偉い和尚様であっただど。

んじゃがら、それがらはナ、あんな山の上の方さどんどん、どんどん水出んの不思議だべした。
それで、弘法清水とな、名前付けたんだど。

今、皆んな行って「あーうんめ。あーうんめ。」って水飲むげんじょ、
それが弘法様と言う偉いお坊さんが作って下さった水だどは、あんまり知らね見でだぞ。弘法清水

あの水はナ、弘法様が釈杖で突づいで、あんな山のすってんちょさ出してくっちゃ、有り難でぇ水だ。

そんじぇな、登山した時は必ず「有り難でぇ、有り難でぇ」と思って飲んでくんだぞ。

あったど昔、さげぇました。