認知証について<2010年3月>
65歳以上の高齢者の10人に一人は「認知症」であるという報告があります。磐梯町の高齢化率は30%を超えていますので、磐梯町には120人、会津・南会津全体では9000人以上の認知症の方がいる計算になります。これは他人事ではありません。
認知症を考える上で大切なことは、認知症を予防する生活習慣を心がけること、早期発見や早期治療に努めること、認知症の方をみんなで支えながら、いつまでも住み慣れた場所で幸せに生活していただくことです。
認知症の予防
認知症の代表的なものに、脳血管性とアルツハイマー型とがあります。
脳血管性では動脈硬化、高血圧、糖尿病など生活習慣病が原因となりますので、これを予防することが大切です。アルツハイマー型の場合は脳細胞の萎縮や機能低下を防ぐために、いくつかのことが勧められています。
- 塩分と動物性脂肪を控えたバランスのよい食事をとる。
- 適度に運動を行い足腰を丈夫にする。
- 深酒とたばこをやめ規則正しい生活を送る。
- 高血圧、肥満など生活習慣病の予防、治療を心掛ける。
- 転倒に気をつける。
- 考えをまとめ表現する習慣をつける。
- こまやかな気配りをしたよい付き合いを行う。
- いつも若々しくおしゃれ心を忘れない。
- くよくよせず明るい気分で生活する。
などです。自分や家族が認知症にならないために、今からでも心がけ、実践したほうが良いと思います。
認知症の早期発見
認知症を疑うサインは、
- 同じことを言ったり聞いたりする。
- 興味や関心がなくなった。
- 置き忘れやしまい忘れが目立つ。
- 物の名前が出てこない。
- だらしなくなった。
- 時間や場所の感覚がおかしい。
- 計算の間違いが多い。
- 怒りっぽい。
- ガス栓や水道の蛇口の閉め忘れが頻繁にある。
- 普段歩いている道に迷う。
- 「財布を盗まれた」と言う。
などです。
認知症を早期発見・治療し、進行を遅らせることで、有意義な人生を長く続けることが期待できます。また、他の病気でも同じような症状をきたしている場合があります。認知症を疑ったら早めに医師に相談しましょう。
認知症の方と暮らす
認知症には、覚える、考える、判断するなどの脳の機能低下による「中核症状」と、怒りっぽい、暴力をふるう、徘徊するなどの生き残っている脳がうまく働かないことによる「周辺症状」があります。認知症の方と一緒に生活する上で、この「周辺症状」が介護者の負担を重くする要因となります。
認知症により「記憶」に障がいがあっても、「感情」は保たれていると考えられています。
認知症の方の間違いを否定したり、怒ったりすると、それが「不安」や「イライラ」、「怒り」となり、「周辺症状」が増え、落ち着かなくなります。「困った時に怒られる」という経験から、介護者に対する抵抗や暴力が現れます。逆に「中核症状」を優しく容認し、認知症の方が「安心する」「ほっとする」「喜ぶ」環境におき、「困った時に助けてくれる」という安心感を維持することで、穏やかに生活していただけます。
戸惑う事も多いですが、家族だけで抱えこまずに、早めに地域包括支援センター等に相談し、専門家のアドバイスを受ける事も大切です。
磐梯町医療センター 齋藤 充