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インフルエンザについて<2008年11月>

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年11月1日更新

紅葉の季節も終わりに近づき日々寒さを増してくる頃となりました。インフルエンザの予防ワクチンは接種されたでしょうか。

今回はインフルエンザについてのお話です。

インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症で、一般に言われている風邪とは異なります。38度近くの発熱、倦怠感、筋肉痛、くしゃみや咳などの症状で発症します。 潜伏期間は約2日間で、感染の経路は、患者のくしゃみや咳、痰などと一緒に体の外に出されたウイルスが、小粒となった水滴に含まれて飛散し、それが鼻やのどなどから吸い込まれることによります。

くしゃみや咳に含まれるウイルスを直接吸い込む場合もありますし、咳をした直後に、短時間水滴中のウイルスが空気中を漂っているうちに吸い込んでしまう場合もあります。

近頃テレビなどのマスコミでインフルエンザのパンデミックという話を聞いたことはありますか。

パンデミックとは流行が短期間に世界的に拡大し、多数の人々が年齢を問わず感染する状態をいいます。パンデミックは今に始まったことではなく、古くはヨーロッパで紀元前412年の記載があります。 また11世紀には明らかにインフルエンザの流行を推測させる記録が残っており、16世紀にはすでにインフルエンザと呼ばれていたようです。 日本でも古くは平安時代にインフルエンザの流行をうかがわせる記載があり、江戸時代には「はやり風邪」と呼ばれていたそうです。

近代では第一次世界大戦の最中、スペイン風邪と呼ばれる流行があり、世界の人口の約50%が感染し、25%が発症したと見積もられています。日本では1918年(大正7年)の11月に全国的な流行となったそうです。 その後は1957年4月のアジア風邪、1968年6月に香港で爆発的に流行した香港風邪、1977年5月に中国北西部から始まったロシア風邪などがあります。

予防法については日常生活ではまず、体調を整えて抵抗力をつけ、 ウイルスに接触しないことが大切です。また、インフルエンザウイルスは湿度に非常に弱いので、室内を加湿器などを使って適度な湿度に保つことは有効な方法です。

手洗いは接触による感染を、うがいはのどの乾燥を防ぎます。 予防接種では、アレルギーのない方であれば、基本的に接種は可能ですが、ワクチンを接種してから効果がでるのに2週間ほどかかります。 少しでも抗体価が上昇していれば、症状がその分重くはなりません。

過去にかかった同じようなウイルスの型ならば接種後、1週間ほどで上昇しますが、その間に感染する可能性はあります。 かぜなどで体調を崩している時は、ワクチンの接種は控えた方がいいでしょう。 免疫機能が低下していることがあるため、インフルエンザワクチンを接種しても十分な効果が得られない場合もあります。十分回復してから、接種を受けて下さい。 あとは、栄養と休養を十分にとる、人ごみを避ける、マスクを着用するといったことをおすすめします。

治療法についてですが、現在、インフルエンザの治療に使われているタミフルなどの抗インフルエンザ薬は、インフルエンザウイルスの増殖を抑える薬です。いったん体の中に入ったインフルエンザウイルスは猛烈な勢いで増え続けて、症状が出てから2~3日後(48~72時間後)に最も数が多くなります。ですから、ウイルスの量が最大になる前、つまり症状が出てから48時間以内に抗インフルエンザ薬を使って増殖を抑えれば、病気の期間を短くし、症状の悪化を防ぐことができる可能性があるというわけです。 しかし、抗インフルエンザ薬の中でもタミフルに関しては報道でもされ、ご存知のように1歳未満と、10歳から19歳までの方には出すことができません。また、感染していても初期でウイルスの量が少ない場合は、検査で(-)とでる場合があります。

検査する時期などによっても、差がありますが、陽性(+)とでたら、その診断は確実です。抗インフルエンザ薬は、症状が出て48時間以内の服用が必要とされています。48時間以上経った場合は、症状をやわらげる対症治療(熱を下げる、痛みをとるなど)が中心になります。

安静にしてたっぷり睡眠をとり、体力を回復することが第一です。 お茶、ジュース、スープなど好きなものを飲んで、水分を十分に補給しましょう。 インフルエンザの合併症には中耳炎、気管支炎、肺炎などのほかに、小さなお子さんの脳症があります。

脳症は、突然の高熱に始まり、1~2日以内にうとうととした眠りから意識混濁した深い眠りにいたるさまざまな程度の意識障がいを呈し、多くの場合けいれんを伴います。 短期間のうちに死亡することの多い合併症です。インフルエンザウイルスにかかって症状が現れてから2~7日間は、ウイルスを体の外に出すと言われています。この間は、まわりの人にうつる可能性があります。 また、熱が高いほどウイルスをたくさん出すと考えられているので、熱が出ている間はまわりの人にうつさないよう、注意が必要です。

小児の方が高齢者よりウイルスを大量に出します。インフルエンザにかかった後は体力が落ちていることもあるので、無理をせず、十分に回復してから復帰するのがベストです。 症状が出てから3~7日間は他の人へうつす可能性が高いので、人が多く集まる場所はなるべく避けましょう。咳などの症状が続いている時は、ハンカチで口元を覆ったりマスクをするなど、まわりの人への配慮も忘れないで下さい。

 

磐梯町医療センター 田部 宗玄

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