ノロウィルスによる感染性胃腸炎の予防と対策<2007年1月>
感染性胃腸炎は細菌やウィルスによって引き起こされ、細菌によるものは夏場に、ウイルスによるものは秋から冬にかけて流行します。特にこの冬はこれまでになくノロウィルスによる胃腸炎が流行しています。保育園や学校、病院や高齢者施設、また旅館やホテルなどの宿泊施設においても集団発生が起きています。1~2月が発生のピークであり、今後も注意が必要です。
感染経路について
ノロウィルスはほとんどが経口感染します。
- 汚染された貝類を、生あるいは十分に加熱処理しないで食べた場合
- 食品取扱者や調理者が感染し、その者を介して汚染した食品を食べた場合
- ウィルスが大量に含まれた患者の糞便や吐物から、人の手などを介して二次感染した場合
- 乾燥した空気中にウィルスが舞い上がったものを吸い込んだことによる感染した場合(飛沫感染)
などが考えられます。同じウィルスで、食中毒の原因になる場合と、急性胃腸炎として感染が広がる場合があります。
症状
潜伏期間は24~48時間程で、下痢、嘔吐、腹痛や軽度の発熱がみられます。
健康な方では通常は2~3日ほどで回復しますが、乳幼児や高齢者、体が弱っている人などでは脱水や合併症により重症化したり、吐物の誤嚥により窒息した例もあります。
治療について
ノロウィルスにはワクチンや特効薬はなく対症療法に限られます。
脱水症状を起こしたり体力を消耗したりしないよう、水分と栄養の補給に努めます。脱水症状がひどい場合は点滴治療を要する場合があります。止しゃ薬(下痢止め)は、病気の回復を遅らせることがあるため、使用しないことが望ましいでしょう。
予防法
ノロウィルスによる食中毒や胃腸炎を防ぐには次にあげるような予防対策が大切です。
- 手洗い・うがいの励行(調理や食事の前、トイレの後、汚物処理の後)
- 食材を中心部まで十分加熱処理(85℃ 1分)する。
- 食材を料理した器具の洗浄・消毒(次亜塩素酸ナトリウムによる消毒や加熱)
- 体調の悪いとき、下痢や嘔吐等の症状のある時は調理を控える。
- 直接汚物(便や吐物)に触れない。使い捨て手袋を使用し、マスクを着用しウィルスの吸入を防止する。
- 汚染された便器や床、ベッド、ドアノブや日用品、家具の清掃・消毒を行なう。(次亜塩素酸ナトリウムによる消毒。)
- 室内の換気とともに、ウィルスが好む乾燥した環境を避けるため、十分な加湿を行なう。
などに注意しましょう。
感染してもほとんど症状が出ない方もいますので、症状がないからと言って油断はできません。また発病し症状改善した後も1週間から長いときで1ヶ月もウィルス排泄が続くことがあり、注意を要します。
インフルエンザの流行時期にも重なります。手洗いやうがい、マスクの着用はインフルエンザの予防にも共通します。ふだんから規則正しい生活、十分な睡眠と栄養補給に努めて下さい。
磐梯町医療センター 齋藤 充
関連情報
ノロウイルスに関するQ&A厚生労働省(外部リンク)<外部リンク>