骨折を予防しよう
平成16年簡易生命表によると、男の平均寿命は78.64年、女の平均寿命は85.59年、65歳の方の平均余命を見ると、男性には18年、女性には23年の人生が残されています。活動的で有意義な人生を過ごすためにも健康でいられる時間(健康寿命)を出来るだけ長くすることが大事です。65歳以上の方が要介護となる原因はまず第一に脳血管障がい26%、ついで高齢による衰弱が17%そして転倒・骨折が12%となっていますが、この転倒・骨折は増加傾向にあり問題となっています。
転倒・骨折の原因
高齢者の転倒や骨折の原因には様々な要因があります。老化や病気に伴う筋力や持久力の低下やバランス能力の低下、家庭における段差・照明が暗い等の環境により転倒が発生すると考えられます。衝撃が強い場合や骨粗しょう症などの骨が弱い状態において骨折も発生します。骨粗しょう症に伴う主な骨折部位としては、大腿骨頚部骨折、脊椎骨折、手首の橈骨骨折があります。
高齢者では、わずかな外力で骨折を生じ、骨についている筋肉も細くて弱いため、骨折の端のズレが少なく、骨折部位の症状が軽い事が多いのです。
高齢者の骨折では時間を要することが多く、血流の少ないところの骨折(足の付け根、上腕部の上部など)はさらに治療に時間がかかる要因になります。
調査によると肥満傾向な人、健脚度が低い人、動脈硬化が進んでいる人、転びやすい歩き方をする人、外反母趾の人は転倒しやすいことがわかっています。
転びやすい歩き方は、目線が下、歩幅が狭い、つま先が上がらない、つま先で地面がけれないという特徴があります。
転倒予防
転倒を予防するために安定した歩行が出来るように手足の筋力を強化するとともに正しい歩き方を身に着けることが大事です。また、バランスを崩したところから立ち直る能力、万が一転倒した際にダメージを最小限にする工夫(ヒッププロテクターなど)も必要でしょう。筋力強化やバランス能力の訓練には保健センターなどで行っている転倒予防教室を利用することが効果的です。また、自分の体力を知ったうえで、準備運動をし、無理なくできる運動を行うことも重要です。
骨粗しょう症予防
年齢とともに骨に含まれるカルシウムが減っていきますが特に女性は閉経に伴い女性ホルモンが減少し急激に進む傾向があります。女性の方は住民検診などで骨量や骨塩の検査が行われますがそこで異常を指摘される前に、普段から骨粗鬆予防に努める必要があるでしょう。
日常心がけること
- 日頃からこまめにからだを動かすこと
- いつもより大きい歩幅で歩いてみる
- いつもより少しだだけ早く歩いてみる
- ひとつ手前のバス停で降りて、歩いてみる
- エスカレータを使わずに階段で昇ってみる
歩き方のポイント
- 目線は進行方向に向けて、視野を広く
- 歩幅を少し広めに
- 着地はかかとから
- 足先で地面をける
- テンポ良く(腕は自然にふれるように)
骨粗鬆予防のポイント
- カルシウム、ビタミンDをとる
- 塩分をひかえる
- 運動する
- 禁煙する
- 酒、コーヒー、炭酸飲料は飲みすぎない
- お日様にあたる
磐梯町医療センター 医師 屋島治光