甦る古代金堂 慧日寺金堂の復元【第13回】 現地組み立て その7
壁の漆喰仕上げ
乾燥・養生を経た復元金堂の外壁は、最終仕上げとなる漆喰塗りが行われ、美しい白壁に仕上がりました。
建物内部については、第12回でお伝えしたように床板張り終了後に中塗りが行われ、現在乾燥期間に入っています。漆喰塗りは気温や湿度に大きく左右されることから、仕上げ塗りは年明け以降に気候状況と照らしながら実施する予定です。
漆喰
奈良時代後期までは、白壁といえばほとんどが白土でした。石灰を利用した漆喰塗りは、慧日寺の創建と同時期の、平安時代初め頃から始まったと言われています。消石灰を原料とし、フノリなどの膠着剤、ひび割れ防止の繊維質(麻など)を加え、水で練り上げます。調湿・防カビ機能に富み、遮音・遮光性にも優れた仕上げ材として、古代には宮殿や寺院などで重宝されました。
進む屋根葺き
軒付けの部分から始まった屋根葺き。軒先は雨仕舞いなど考慮して、とち板を十枚以上も重ねて厚く葺かれます。さらに、上方に銅板がはさみ込まれ腐食防止を図ります。軒付け部が終了すると、今度は屋根板に葺き足を取りながら、徐々に上方へ向かって葺き上げられていきます。屋根板の打ち留めには、竹釘も併用されます。
とち葺きの下地となる野地板貼り 軒付け部は厚く重ねます
屋根板は徐々に上方へと葺き上げます
金堂復元工事現地公開
去る10月26(金曜日)~28日(日曜日)に開催した復元工事現場の特別公開では、竣工が近づく古代仏堂の姿を一足先に見ようと、3日間で700名近い方々が見学に訪れました。
現地で行った屋根板の記念記銘も、およそ250枚にも上り、それぞれ思い思いのことばを記されていました。
みなさまに記銘いただいた屋根板は、間もなく屋根に葺かれます。葺き替えまでどのような状態で残るか、将来が楽しみです。
JR東日本発足20周年記念トランヴェール特別号
東日本旅客鉄道(株)発行、JR東日本発足20周年記念トランヴェール特別号において「仏都会津の原風景へ」と題し、徳一が開祖した慧日寺の紹介や金堂復元の記事が掲載されております。
なお、東北新幹線車内限定ですのでご利用の際はお手にとってご覧下さい。