甦る古代金堂 慧日寺金堂の復元【第6回】 現地組み立て その1
印刷用ページを表示する 掲載日:2015年11月15日更新
年明けから、本格的な現地での組み立てが始まりました。今回は、素屋根内で行われている作業の状況を紹介します。
今回の復元工事にあたっては、史跡内という制限もあって広い加工場が確保できないため、前もって京都の工場で柱の仮立てをし、柱や長押など各部材の細部加工を行いました。
その後現地に運んで再度組み立てていくわけですが、発掘調査の結果、金堂の基壇は水平ではなく、南に緩やかに傾斜していることが分かっています。新たに造成した基壇もその傾斜を踏襲しているため、まず建物の基準となる周囲の柱をすべて立てることから始めました。
レーザー水準器を用いて一つ一つの礎石高をジャッキで調整します | 柱位置が決まると、礎石を無収縮セメントで固定します |
木は生きものであって、加工後の部材でも気温・湿度などの影響で伸び縮みが起きます。実はこの部材の微妙な伸縮は、実際に現地で組んでみなければ分かりません。そこで、現地での最終的な調整加工が必要となるわけです。固定した側柱に頭貫や長押を回す仮組みを行い、それぞれの柱にぴたりと密着するまで、組んでははずし、削っては組みの工程が何度も繰り返されます。
調整加工が終わると、いよいよ本組みに入ります。頭貫を一端すべてはずし、柱と柱の間には壁の下地となる格子を、上から落とし込む形ではめていきます。